フォトジェニック

  短大時代、私は写真部に所属していた。中高の運動部とはガラリと変わり文化系に入ってみる。ガチガチの写真部ではなくゆるーい写真を好きなように撮るだけの集まり。女子大だったし、カメラブームからか先輩も友達もおしゃれな子が多かった。年一回合宿があり、旅先で30人程みんな首からカメラぶら下げてシャッターチャンスを狙っているのは異様な光景であった。


バイトを掛け持ちして貯めたお金で一眼レフを購入する。EOSのKISSシリーズ。オートで半押しすればピントが合う楽なカメラ📷マニュアルでピント合わせとかしません。とりあえず撮りまくる。首から下げてどこでも撮る。


顧問がいなかったので、先輩に現像方法を教えてもらう。酢酸の匂い漂う暗室での現像作業。撮ってきた映像がスーッと浮かび上がる科学実験のような作業。2年生の就活中は合間をぬって黙々と現像するのが癒しになっていた。


都会は人工的なものが多いせいかどこか無機質な写真になるような気がする。モノクロが似合うというか、灰色の空がそうさせていたのだろうか。都会を離れると自然が芸術品として完成されているので、シャッターを押すだけで自分最高!と思う写真が撮れた。


携帯やデジカメとは違ってその場で確認できないが、写真を撮った後の現像作業はワクワク感でいっぱいだった。


 そして今子供ができてからまた写真を撮る機会が増えた。たまにマメな子が写真を現像してわざわざくれたりする。いざ手にとってみると、いい写真がとれていても面倒くさがりのため全然現像していないことに気づく。写真は劣化してしまう為データで残しておけるのはありがたいが、また現像してみようかな。